経営論、戦略論
一会社員として仕事をしている以上、やりたいこととやらねばならぬことが一致することは稀である。
どちらを優先すべきかというともちろんやらねばならぬことである。
、と言い訳を述べたところで。最近エントリの内容が妙にうすーいのは、全く別の領域の足を踏み入れていたため。慣れない領域だったのでひたすら調べ物に時間を費やしてしまっていた。(温泉行ったりもしたけど。。)
まず「経営論」的なものの見方と最低限の知識を知らねばならない状況になった。現状の分析等を行うには必要なことである。
そして、これからどうすればいいのか、を考える際には経営論寄りの「戦略論」も知っておかなければならない。
着手時点でのこれらに対する知識は0ではないけどほぼ無いに等しかった。
まず、全体像を把握するために本棚を漁る。たしかあったはず。
Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2006年 11月号 [雑誌]
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2006/10/10
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それと
Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2007年 02月号 [雑誌]
- 作者: 戦略論の原点
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2007/01/10
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この2冊で歴史的経緯と、有名人、有名な本をチェック。
ハーバード・ビジネス・レビューの中でもこの2冊は特に密度が濃く、永久保存版扱いにしている。
概略が見えたところで、少し具体的、個別的なところに足を踏み入れる。
本屋で出たばかりっぽい、いい感じの本を見つける。(あのー、ハーバード・ビジネス・レビューが役に立っていないように思えるんですが。。)
- 作者: ジョン・W・ムリンズ,秦孝昭,出口彰浩,兎耳山晋
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2007/09/07
- メディア: 単行本
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簡単にまとめると「業界」と「市場」は異なるものであること。事業を成功させるには、この両者に対してマクロ、ミクロレベルでの分析が必要。つまり2×2で4種類の分析が必要。それらの上に自分たちの経営チームのあり方、目標が乗っかっている、という構造を基本に具体的例も交えながら、どうすれば成功するのか、また逆に失敗してしまったのかを論じている。
ありがたかったのは、章ごとにまとめとしてチェックシートがついていて頭を整理するのに楽できました。ただ、勘違いをしてはいけないのは、チェックシートだけ見て分かったつもりになってもそれだけで事業が成功するはずがないよ、と当たり前ですがちゃんと釘も刺しています。
読んでいて、おや?と思ったのが、競合他社に対するアプローチが、マイケル・ポーターの理論そのままだったこと。まだこの時点でマイケル・ポーターの本は読んだことは無かったのだが、前述のハーバード・ビジネス・レビューに似た理論があったので。
そうか、逆にマイケル・ポーターの理論ってある意味デファクトスタンダードなのかも、と思う。よし、ちょっと読んでみるか。本屋へ向かう。
彼の本は3種類くらい置いてあった。名著と噂の『競争の戦略』をぱらぱらめくる。
ん?何かが違う。勝手に想像していた経営論とは何かが違う。全然頭に入ってこない。難しい、というか論理的すぎるとしか表現できない。緻密すぎる。こいつはただ者ではない。どうしよう。そこで自分が取った行動は・・・
恥ずかしながら入門書らしき本を買った。これまであまりやったこと無いのでちょっと恥ずかしい。
- 作者: グローバルタスクフォース
- 出版社/メーカー: 総合法令出版
- 発売日: 2004/01/01
- メディア: 単行本
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これが大当たりだった!なぜあの本が読みづらいと思ってしまうのかの回答が明確に書かれていた。それは、
この本は最低でも「ゲーム理論」を理解している読者を前提として書かれている。
目から鱗でした。しかもポーターの経歴見たら
マイケル・ポーター - Wikipedia
何者ですか、この人は。。その後経済学に移って、ハーバード大学史上最年少教授ですか、ああそうですか。
話戻して「ポーター教授『競争の戦略』入門」ですが、ポーターの論理展開をロジックツリー的に図式化してくれて分かりやすかったのも助かった。
読後、これなら本物の『競争の戦略』が読めそうな気がした。早速購入した。まだ読み終わってはいないけどこれ身につけたらかなり視野が開けそうである。
同時に戦略論も調べていた。
そういえば、日本人によって書かれた戦略論といえば言うまでもなくアレ、ですよね。
- 作者: 戸部良一,寺本義也,鎌田伸一,杉之尾孝生,村井友秀,野中郁次郎
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1991/08/01
- メディア: 文庫
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なんて偉そうなことを言いながら読んだこと無かった。知ったつもりになってただけだった。
これはいかんと探していたら、その続編ともいえる
- 作者: 野中郁次郎,戸部良一,鎌田伸一,寺本義也,杉之尾宜生,村井友秀
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2005/08/06
- メディア: 単行本
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というのを発見!こっちの方が具体例が多岐に及んでおり(すべて戦争絡みですが。。)組織論とも絡めた論理展開がされているようなのでまずはこっちから読む。
感想は、間違いなく良書でございます。特にこの本で学んだ一番のことは、クラウゼヴィッツ『戦争論』からの引用なのですが、
戦争とは敵対する意志の不断の相互作用である
この一言でガツンとやられました。(なら先にクラウゼヴィッツ読めよ、という批判はそのとおりでございます。。結構読みづらいのよ、あれ)
つまり戦いが行われる「場」というものは、たえず変化するものであり、なぜならある作戦の元に自分が動くこと自体が場を変化させることであり、相手もそれに反応することでまた「場」の状況が変わる。分かりやすく言えばチェスや将棋みたいなものです。駒を自分が動かせば相手もそれに応じて駒を動かす。その繰り返しによって「場」は変化し続ける。
それを知らずに戦略とはあらかじめきっちり作成すべきものであり、はいできあがり、でおしまい、的な考え方をしている人のなんと多いことよ。自分も反省です。
で、この互いに駒を動かすことで「場」が変わり続ける、でなにかピンと来た方いますか?
そう、これまさに「ゲーム理論」なんです。ここでナポレオン時代のクラウゼヴィッツの戦争論とマイケル・ポーターの最新の経営戦略理論が結びつく。
さらに『戦略の本質』では、組織論まで議論が進むのですが、ちょっと戦争寄りなのでビジネスで使えるかがすぐには判断できなかったので本棚から
組織論再入門―戦略実現に向けた人と組織のデザイン (ビジネス基礎シリーズ)
- 作者: 野田稔
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2005/12/01
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を取り出して再読。入門書にしては300P超と少し厚めですがきれいにまとまっている感じです。これで現代の組織のあり方を頭に入れる。
、とここまで「経営」「戦略」について調べてきたつもりだが、やらねばならぬことをやるにはまだかけている部分があった。それは
「財務・会計」そして「企業分析」的な知識。
複式簿記見るだけで鳥肌立つほど苦手なのに。とりあえず財務諸表の分析のコツなどをさらっと学べないかな、と。
- 作者: 清田卓生
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2003/08
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タイトルみて、こんなの読まないとダメな自分に悲しくなったのですが、ふたを開けてびっくり。これまた当たりでした。
分かりやすさが半端ではない。難しいところを省いて簡単にしているのでなく、ちゃんとツボを押さえて著者がしっかり自分の言葉で書いている。
そしてこの本で初めて気づかされたこと。
- 決算書の分析には単期だけ見ても意味がない。最低でも3期くらいを並べて比較しないと意味がない。それにより何が変化したのかが分かる。
これを教えてくれただけでも感謝です。
ところで、同時に複数の本を読んでいると頭の中でスープ状になって、思わぬところに関連性を見いだしたりして、加速度的に理解度が高まる。
最初の『ビジネスロードテスト 新規事業を成功に導く7つの条件』を読むまでは戦略とはマクロレベルのものだと思っていた。しかしこの本により、マクロ、ミクロ同時に見なければならないと教えられた。これが意外だったので「ミクロ」という単語が頭の中にこびりつく。
『戦略の本質』で、チャーチルが首相になってからも爆撃を受けた飛行場に出向いて修理方法を提案したり、他国の大統領と会談したかと思えば、装甲自動車からタンクの開発まで手がける。このことに関して本書では、戦略の本質を見極めるには細部の認知が不可欠であると述べている。つまりここでも「ミクロ」レベルの視点が必要と言っているわけだ。いわゆる
「神は細部に宿る(Gods is in detail)」
である。もちろんミクロだけではダメで、マクロレベルも同時に見ることのできるものこそが戦略を立てる素質のあるものであるのは言うまでもない。
やたらミクロミクロが目につくので、(会計、企業分析もある意味ミクロであろう)ここはひとつミクロ経済学一冊読んでおくかと思い。何にしようか考える。
マンキューは何となく難しそうだし、かといっていきなりクルーグマンってのも偏りそうだし・・・
よしここはやはり新進気鋭?とにかく尖ったイメージのあるスティグリッツにしよう。
- 作者: ジョセフ・E.スティグリッツ,カール・E.ウォルシュ,Joseph E. Stiglitz,Carl E. Walsh,薮下史郎,蟻川靖浩,木立力,秋山太郎,大阿久博
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2006/03
- メディア: 単行本
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序盤のいつもの需要と供給のグラフでめまいがしてくる。やっぱり苦手ですー。ぱらぱらめくって最後の方にさしかかったとき衝撃が!
なんと第14章がゲーム理論の解説だったのである。ここで戦略論とミクロ経済学とゲーム理論が結びつく。
ここまできて何となく経営学が扱っている領域が分かってきた気がし始めた。この知識を元に仕事に取りかかろう。
、とここまできて一昨日、この努力がすべて無に帰すこととなる。つまり「あ、それやんなくていいよ。」みたいな。(正確には違う言い方なんだけどニュアンスとしてはこんな感じ)
まあでもこれで得た知識はきっといつか役に立つだろうし、いい勉強になったとプラス思考プラス思考プラス・・・
一冊大事なの紹介忘れてた。
- 作者: 岡田章
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 1997/01
- メディア: 単行本
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数式たくさん出てきますが、正当派な本だと思います。