邪馬台国の秘密

20年近く前の本ですが。

著者はミステリー作家なので、この本もミステリー小説だと思って読み始めた。そのため最初戸惑ってしまった。

ミステリー小説とは、殺人事件を主軸に謎解きが展開される物語。

しかし、殺人事件は起きない。淡々と歴史に関する会話が続いていく。まるで歴史ノンフィクションのよう。

しかし本書は立派なミステリー小説である。

邪馬台国はどこにあったのか?そのヒントは魏志倭人伝に記された文書のみ。その情報の少なさゆえに、専門家の間でも九州説から近畿説までさまざまな説が存在している。

それを病気療養中の主人公、神津恭介がベッドの上で思考をめぐらせ、矛盾のない回答を導き出す。

つまりチェアディテクティブならぬベッドディテクティブなわけで、聞き手、ワトソン役に小説家、松下研三が配置されているのもしっかりミステリーしています。

出てきた結論は何気に反論できないほどしっかりしており驚きでした。

正直、文体が時代を感じさせるものであり、硬いな、という印象はありますが読み始めると一気に読み進めることができました。


邪馬台国の秘密 新装版 高木彬光コレクション (光文社文庫)

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邪馬台国の秘密 改稿新版 (角川文庫 緑 338-51)

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