ゲーデル、エッシャー、バッハ
ゲーデル、エッシャー、バッハ―あるいは不思議の環 20周年記念版
- 作者: ダグラス・R.ホフスタッター,Douglas R. Hofstadter,野崎昭弘,柳瀬尚紀,はやしはじめ
- 出版社/メーカー: 白揚社
- 発売日: 2005/10/01
- メディア: 単行本
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ゲーデルの再帰的手法によって導かれた不完全性定理。バッハによる対位法形式なフーガ、入れ子構造のようなカノン、そしてどこまで上っても終わりのない階段などのだまし絵を描いたエッシャー。
自己言及的構造を主なキーワードに、数学の決定システムにおける決定手続きが存在しないこと、生物学の分野ではDNAの自己言及性が自己増殖を生みだすこと。
無矛盾性と完全性。止まらないチューリングマシン。文章のいたるところが再帰的かつメタ的。
で、この本の最終目的は何なのか。それは機械は知能を持つことができるのか、ということ。知性とは何なのか。意識とは、心とは。
自己認識をはじめとして人とはメタ的な意識構造を持っており、自己言及をしても破綻しないどころかそれが創造性を生んだりする。これらを著者は「揺れ動く不思議な環」と表現する。
700ページもかけて徹底的にメタ論議を浴びせられた読者は、機械(コンピュータ、AI)のあまりの稚拙さに納得するしかない。そう簡単に機械が知性を持つことができないと分かり安心もするけど。