東大教師が新入生にすすめる100冊

http://dain.cocolog-nifty.com/myblog/2007/04/100_d0c8.html

自分が気に入った本を無理矢理にでも人に勧める癖がある。そういう本に限って途中で「よくわかんない」と返されたり、貸したまま帰ってこなかったり。(その場合読了している可能性はまずないであろう)
でも、この「東大教師が新入生にすすめる100冊」をみてほっとした、というか、やっぱりね、という感想が抱けて嬉しかった。


1位:

カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)

カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)

カラマーゾフの兄弟2 (光文社古典新訳文庫)カラマーゾフの兄弟3 (光文社古典新訳文庫)
 やはり無敵です。しかも光文社文庫版を紹介してくれている。(先週友人に出版社にこだわるなんてマニアックですね、と言われドスンと落ち込んでた。)

カラマーゾフの兄弟に関しては、d:id:p-nix:20070818:p1 でも紹介しています。続編の4、5巻に関してと、もう少し詳しい解説を書いています。


3位:

ゲーデル、エッシャー、バッハ―あるいは不思議の環 20周年記念版

ゲーデル、エッシャー、バッハ―あるいは不思議の環 20周年記念版

 d:id:p-nix:20070404 で紹介しています。紹介するのがもう少し遅かったらと少し冷や汗。

そしてマックス・ヴェーバーの著書が2冊
 4位:

プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神 (岩波文庫)

プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神 (岩波文庫)

 社会学の分野になるのですが、私は専門家ではないので謎解き小説のように読んでしまいました。あっと驚く大どんでん返しのある論文なんてそうそうお目にかかれない。
 30位:
職業としての政治 (岩波文庫)

職業としての政治 (岩波文庫)

中島敦も2冊
15位
 

中島敦全集〈1〉小説

中島敦全集〈1〉小説

83位
 
山月記・李陵 他九篇 (岩波文庫)

山月記・李陵 他九篇 (岩波文庫)

 山月記好きです。自分の能力を過信し他人から学ぶことをしなかったため獣になってしまった友人。その友人の淡々とした告白を聞く主人公。主人公が獣になるわけではなく、聞き手に徹するという構造によって話が押しつけがましくないというか、読み手に告白する台詞が間接的に届く仕組みになっている、という、構成の勝利でもあります。

ミステリーでは
52位:

新装版 虚無への供物(上) (講談社文庫)

新装版 虚無への供物(上) (講談社文庫)

新装版 虚無への供物(下) (講談社文庫)
 ミステリーが入ること自体が驚きでしたがどれを入れるかとなればこれでしょう。

SFでは
98位:幼年期の終り (ハヤカワ文庫 SF (341))
 より高く、より賢く、と目指し続けた人類のたどり着いた結末とは。人類の最終形態の驚くべき姿。
話それますが最近web2.0CGMによる集合知の実現により人々の知識が高いレベルで集約される、などの論調をよく耳にして、そのときこの本のラストシーンがふと頭をよぎって寒気がしました。

あと、あまり知られてないであろう本としては
89位:

誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論 (新曜社認知科学選書)

誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論 (新曜社認知科学選書)

 デザイン、設計(建築、IT系)に関わる人必読です。確かにアフォーダンスを先取りしていたともいえます。ただ正直日本語訳に難あり。


まだまだお勧めいろいろあるけどさらっと。
2位:オリエンタリズム 上 (平凡社ライブラリー)オリエンタリズム下 (平凡社ライブラリー)
 西欧中心的な考え方を根底からひっくり返してくれた本。あわせてレヴィー・ストロースの著書も読むといいかも。


29位:純粋理性批判上 (平凡社ライブラリー)純粋理性批判中 (平凡社ライブラリー)純粋理性批判下 (平凡社ライブラリー)
 甘く見てました。一回読んだだけでは頭整理できなかった。でも再読する価値は絶対にあるので今度はメモ取りながら読もう。人がものを認識、理解するプロセスをそれはもう細かく細かく分析した本です。


19位:利己的な遺伝子 (科学選書)
 結構誤解を受けそうな書き方をするんですよね、この著者。このあとに出た盲目の時計職人を併せて読むといっそう理解が深まるかと。


42位:論理哲学論考 (岩波文庫)
 一言での解説は無理。世界を叙述する公理系を記した本、とでも言えばいいのか。後に「探求」などで自論を覆すことになるがそれでも色あせない価値を持つ本であるのだろう。


はぁ、疲れた。あとはそうですね。塩野七生さんの著書多いですね。ローマ人の物語途中までしか読んでないしな。ある時から「歴史」というジャンル特有の言説というか書き方に違和感を感じるようになってしまい歴史物はあまり読まなくなってしまいました。だから55位『三国志』は大好きだけど「歴史」ではなく「物語」として読んでいます。

終わりに。一挙に押しつけるように紹介しまして申し訳ありません。でも自分も100冊全部読んでる訳ではありません。これを期にさらにいろいろ手を出してみようと思いました。