アルシャードff リプレイ 時計仕掛けの破壊神

私はたぶん物語が好きである。
TRPGテーブルトークRPG)というジャンルのゲームがある。複数人で紙と鉛筆とサイコロを使って行う卓上ゲームGMゲームマスター)と呼ばれる人が物語を作成し、その他のプレイヤーはその物語上の役割を演じながら冒険を繰り広げる。細かい解説は テーブルトークRPG - Wikipedia にまかせるが。

TRPGなんてもう10数年やっていないのだが、当時はひたすらGM役をやらされた。自分で作ったストーリーが受けるとそれはそれで嬉しくて、一時期かなりはまっていた。


本屋で本書が目にとまり、そういえば最近のTRPGってどうよ的な興味から購入。

アルシャードff リプレイ 時計仕掛けの破壊神 (ログインテーブルトークRPGシリーズ)

アルシャードff リプレイ 時計仕掛けの破壊神 (ログインテーブルトークRPGシリーズ)

本書はTRPGの「リプレイ」と呼ばれるものである。実際にTRPGをプレイしている様子を実況中継風に文字に起こしたものである。ゲームをプレイしている様子が本になるという摩訶不思議な文学ジャンルではある。


TRPGには物語の原形が残されていると思う。シンプルが故に純粋なのか。プロットが頭の中で図式化されて実に気持ちよい。
・主人公の出自の謎
・依頼者から任務の依頼
・出発
・移動
・仲間を得る
・格闘、勝利
・帰還
みたいな。なんかドラクエから桃太郎まで使えそうな構成ですが。言い換えれば、物語というのは多かれ少なかれ共通した基盤を持つということです。もっと言えば人間はこのような構成を物語として認識するというか。


物語とは、ということに興味を持ったのならこの本なんかお薦め

大塚英志は何冊も物語論、キャラクター論関係の本を出していますが、本書が最新だけあってもっとも洗練されています。いくつかの質問に答えるだけで自動的に物語ができあがる、というHow To本となっていますが、ちゃんと読めば、物語の構成要素に関しての理論的な本だと分かるでしょう。


ああ、物語っていくつかのパターンから成り立っているんだな、とさらに興味を持った方は古典的名著
昔話の形態学 (叢書 記号学的実践) まで手を伸ばしてみてはいかがでしょう。1920年代に書かれた本です。古今東西の神話、民話が似ているのはなぜだろう。という疑問に端を発し、物語は31の構成要素を組み合わせることで作られるという理論を提唱した本書。物語論を語る上では外せません。


最近の物語論の本で気になっているのは、

可能世界・人工知能・物語理論 (叢書 記号学的実践)

可能世界・人工知能・物語理論 (叢書 記号学的実践)

難しくてなかなか読み進めていないのですが、なぜSF、ファンタジーのような架空の話が成立するのか、ということを「可能世界」と考え方のもとに考察しているっぽい。序盤から論理学の本を読んでいるようで辛いのだけど、図が多いのでいろいろ刺激になります。いいこと書いている予感はするので読み進めていきたい。


てな感じでどうやら自分は物語が好きらしい。