葉桜の季節に君を想うということ

ミステリのランキング等で見かけことあったし、何よりもタイトルに惹かれて購入。

うおっ、そっちかよ、的な意表を突く終盤の展開にはやられました。途中で何度か「ん?」と違和感を感じた箇所があったんだけど、それを謎解きまで持って行くことはできず。

人それぞれの生き様、時間を無駄なく使って濃密に生きる。人にだまされ借金返済に追われる。借金返済のためだけに生きる。借金返済のためといわれ犯罪に手を染めていく者。

主人公の知人のおじいさんが保険金目当てのひき逃げで殺された。証拠はないので警察は事故として処理。
真相を解明してほしいと依頼を受ける。
主人公は普段はガードマンとして働いている。日々の筋トレのたまものの体格、以前探偵事務所経験もあって引き受ける。
高価な羽布団やミネラルウォーターを売りつける会社が怪しいとにらみ調査。
そんななか電車に飛び降りた女性を偶然助ける。2人は惹かれあっていく。

一般にミステリー小説は人を駒のように扱い、血が通っていないキャラクターが多いことがよくあるが、本書は、終盤人物の素性が明らかになるにつれ人間性の豊かさがより現れてくる。

読後、前向きに生きようという気にさせてくれるミステリー小説など希少です。もう一度頭から読み直したい。ちがう読み方できそう。

はじめは気づかなかったが実は重要な会話

「おじいさんが・・・
 死んじゃったの」
「よかったら線香をあげてやってください」
「おかあさん、お客様をお通します。冷たいものを」


葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)