孤島系 『そして誰もいなくなった』『木剋土』など

そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

クローズドものの原点ともいえる本作品。実は今まで読んでいなかった。
嵐の孤島に閉じ込められた10名。一人、また一人と殺されていく、という今では王道と言えるパターンの元祖。
やっぱり名作と言われるだけありますね。プロット素晴らしすぎです。キャラクターもしっかり性格付けされています。
十角館の殺人』を先に読んでいたので、若干ネタバレを知っていたのかもしれない。記憶が曖昧だけど。
しっかりメモを取りながら読み進めたこともあり、納得いく結末という印象でした。ずばり犯人を当てるまでは行かなかったけど、結構いい線まで行きました。
まあ、そもそもミステリをどう読むのか、というのは個人差があるのではないかと思っていて、自分の場合、それほど犯人を当ててやろう、という気はないです。物語にどっぷりつかることを楽しむというか。そんな伏線があったのかー、など作者の策略に見事にはめられる方が楽しいです。
以下ネタバレを避けつつ記述を続ける。

たぶん本筋とあまり関係ないのかもしれないけど、疑問点。

  • P117の、モリスって誰?ということ。
    • シリルの誕生3ヶ月前に死亡。
    • それにより3ヶ月の間ヒューゴーに遺産相続権があった。
    • ヒューゴーはモリスの叔父。

ということはモリスはシリルの父?そして莫大な財産を持っていた、と。作品中でモリスといえばあのモリスですよね、でも死亡時期が一致しない。

  • 序盤で、ロンバートの依頼主はアイザック・○○と記述されていたが、P180ではジョニー・○○と発言している。嘘をついたのか。それにしても理由が不明。
  • エルシー・マクファースンって結局なんだったのだろう。

など。


地の文と台詞で微妙に内容が異なっているところなどを意識して読み進めると面白いです。主観視点と客観視点の違いなども。

本作品を読んで改めて孤島を舞台としたミステリ作品群の根幹であると実感した。

十角館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)

十角館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)

オイディプス症候群〈上〉 (光文社文庫)

オイディプス症候群〈上〉 (光文社文庫)

オイディプス症候群〈下〉 (光文社文庫)

オイディプス症候群〈下〉 (光文社文庫)

などを思い出してニヤリ。
孤島ではないけど
そして二人だけになった (新潮ミステリー倶楽部)

そして二人だけになった (新潮ミステリー倶楽部)

もいいですね。不思議な後味。

時代の経過に伴い、クローズドものも進化し、多彩なネタを盛り込まねばならないわけで。

そういう意味で最近のミステリ作家として注目している古野まほろの作品

これまた舞台は孤島。これから読む。

そしてたっぷりと孤島ミステリのバリエーションを頭に入れた上で、ようやく『うみねこのなく頃に』に挑戦しようかな、と思っている。これはミステリと言うよりは、ミステリなのか自体を問うメタ的構造なのかな、と予想しているけど。